貧血治して元気な生活
コラム
今回は貧血のなかで最も多い鉄欠乏性貧血の治療からみていきましょう。
治療は不足している鉄分を補給することです。
がんばって食事で補給しようとする方もおられますが、すでに貧血の状態になっている場合には鉄剤の薬を使わないと回復は望めません。
鉄分を多く含む豚レバーでさえ約770gでやっと鉄材1錠分(100mgの鉄分)ですから、食事で補給するのは現実的ではありません。
鉄剤の内服薬には吐き気や便秘などの副作用が出る事があり、内服できない場合には注射剤を使う事もあります。
鉄剤を内服すると2か月ほどで貧血は改善しますが、体に蓄えられている鉄分を十分にするためさらに3から6か月間内服を続ける必要があります。
また胃潰瘍や子宮筋腫など鉄欠乏症の原因となる病気がある場合には、その治療もあわせて行います。貧血が改善されたあとは食事からの鉄分補給を心がけてください。
鉄欠乏症貧血以外でときどきみられる貧血に、胃の手術後に起こるビタミンB12欠乏症貧血があります。胃を全部とってしまうと、ビタミンB12がうまく吸収されず定期的な補給が必用になります。しかし体の中に蓄えがあるため補給をしなくても、すぐには欠乏状態にならず5年くらいして忘れたごろに貧血になるので注意が必用です。
また高齢者では胃の手術をしていない場合でも胃粘膜の萎縮が原因でこの貧血になることがあります。治療としてはビタミンB12が吸収されないのですから内服薬ではなく注射で補給します。
そのほかのまれな貧血としては、骨髄の異常から起こる再生不良性貧血、骨髄異形成症候群や、異常な免疫反応によって赤血球が破壊される溶結性貧血などがあります。
腎不全、肝硬変、リウマチなどの病気に伴う貧血もあります。
皆さんも貧血といわれているならば、かかりつけの先生に相談され原因を検査したうえで治療を受けましょう。貧血が治ると「今まで疲れやすかったのがうそのように楽になった。こんなことならもっと早く薬をのんで治療すればよかった」といわれます。
さあ、皆さんも貧血を治して元気な生活を送りましょう。