骨髄は血液の製造工場
コラム
私たちの体を流れている血液は、血漿（けっしょう）とよばれる液体成分と血球と呼ばれる細胞成分からなっています。血球には赤血球、白血球、血小板の三種類があります。赤血球は全身に酸素を運ぶ働きを、白血球は体内に侵入してくる病原体から体を守る働きを、血小板は出血した時に血を止める働きをしています。
血球は骨の中心部にある骨髄でつくられます。骨髄の中では「造血幹細胞」と呼ばれる細胞が盛んに細胞分裂しています。この造血幹細胞はすべての血球になる能力を備えていて、細胞分裂を繰り返しながら成長し、あるものは赤血球に、あるものは白血球に、またあるものは血小板になっていきます。まさに骨髄は血液の血球成分を製造する工場といえるでしょう。
では病気のときの骨髄はどうなっているのでしょうか。急性白血病患者では、骨髄の中の造血幹細胞が成熟した血球となる過程の途中で成長をやめてしまい、不良品（これを白血病細胞といいます）ができ、この不良品が骨髄中でどんどん増えていきます。役に立たない不良品が骨髄の大部分を占めるようになると、正常な血球をつくることができなくなり、正常な血球が減っていきます。そうなると血液検査では赤血球、血小板が減少し、正常な白血球も減少し、役に立たない白血病細胞が多数を占める状態となるのです。
血球成分の工場である骨髄の検査はどのように行われるのでしょうか。骨髄検査は局所麻酔をして腸骨（骨盤の骨）に針を刺して骨髄液を採取するもので、外来でもできる検査です。血液の病気、特に白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫といった造血器腫瘍（血液のがんと言われる病気）が疑われる時に血液内科の専門医によって行われます。
血液の病気は、まれな病気ですが最近増加傾向にあります。血液の病気が疑われる場合は、かかりつけの先生から血液内科の専門医を紹介していただき受診しましょう。